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財政

地方財政制度を学ぶのにオススメの本3選!

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【この記事で分かること】

  • 地方財政制度について学べるオススメの本
  • 財政学を学んでも地方財政制度の理解につながらない理由
  • 地方財政の権威・小西砂千夫先生のオススメ本

皆さん、こんにちは!まゆの地方自治情報局(@mayumist_lg)です!

地方財政計画や地方交付税、地方債や地方税などから成り立つ、地方財政制度

非常に難しい制度ですが、地方自治体の企画・財政部門で働く職員にとっては、必須の知識です。

また、首長や地方議会議員など、政治家の立場で地方自治体にかかわる方々にとっても重要な情報で、地方財政制度について不十分な知識のままで政治判断を行ってしまうと、地方自治体の持続可能性に重大な影響を及ぼしてしまうこともあり得るほど。

にもかかわらず、地方財政制度について正しく学べる本というのは、実は非常に少ないのが現状です。

地方財政制度について、正確に、かつ実務に役立つレベルで学べる本はないものでしょうか…。

本日は、国と地方の両方で公務員を経験し、現在は地方自治体向けのコンサル業務にかかわる私・まゆが、地方財政制度について学べるオススメの本について、ご紹介しようと思います!

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「財政学」の本は多いが「地方財政制度」の本は少ない

世の中には、「財政」についての書籍はたくさんあります。

しかしながら、

財政学の本で、わが国における「地方財政」を学ぶことは、はっきり言って不可能

です。

というのも、巷の「財政学」の本は、経済学の中の一ジャンルとして解説されていることが多いのですが、これらはどちらかというと、経済理論についてのアプローチに終始しています。

一方で、地方自治体の財政運営では、こういった「経済理論としての財政学」の出番は、ほとんどなく、総務省自治財政局が設計した「地方財政制度」を正確に理解することが、実務的には一番重要です。

この地方財政制度は、

「約1,700あるすべての地方自治体が、税収の格差にかかわらず、標準的な行政サービスが提供できるよう、財源調整・財源保障を行う」

ということを目的に設計されています。

この地方財政制度は、良くも悪くも、財政学や経済理論との直接的な関係は、ほとんどありません。

ですので、「財政学」を体系立てて学んでも、地方自治体の財政実務に役立つ知識は、ほとんど得られないのです。

まゆ
まゆ
とはいえ、経済理論としての財政学が、全く役に立たないわけではないですよ。
市場の失敗とかフリーライドとか、ミクロ経済学からの発展的なトピックはたまに実務でも出てきますもんね。
たかし
たかし

よって、地方自治体の立場で地方財政にかかわる者としては、この「地方財政制度」を学ぶことがまず必要になります。

そこで、以下では、「地方財政制度を学ぶ上でオススメの本」を、いくつかご紹介させていただきます。

【オススメ①】新版 基本から学ぶ地方財政

まず、私が一番にオススメしたいのが、関西学院大学の小西砂千夫(こにし・さちお)先生による「新版 基本から学ぶ地方財政」です。

地方財政計画を中心に、地方財政制度全般について、制度設計を行っている総務省自治財政局の考え方に基づいて、丁寧かつロジカルに説明してくれている名著です。

なお、この本は、もともとは平成21年(2009年)に初版が発行されたもの。当時は三位一体改革で地方一般財源総額が厳しく引き締められていた頃であり、

なぜこんなに財政運営が苦しいんだ?

と、多くの自治体財政担当者が思っていたところに、地方財政計画を軸にした的確な解説を施したこの本が登場し、正しい地財制度の理解を求める人々の間で、大きな話題となりました。

今回の「新版」は、その後の制度改正などを反映して、現在でも通用するようにアップデートされた最新版です。

地方財政の基本的な言葉を知らないと少しとっつきにくいですが、この本の内容を理解できていれば、とりあえず地方財政制度について一定の知識があると言って良いレベルに達することは間違いありません。

なお、著者の小西砂千夫先生は、地方財政制度の研究に熱心に取り組んできた、いわばこの分野の第一人者とも言える存在です。

現在は総務省の審議会・地方財政審議会の会長を務めておられるなど、まさに「地方財政の権威」と言っても過言ではないでしょう。

まゆ
まゆ
もともと総務省自治財政局と強いつながりがある先生でしたが、ついに地財審の会長にまでなったんですね!

【オススメ②】地方交付税を考える

続いてオススメしたいのが、「地方交付税を考える〜制度への理解と財政運営の視点〜」という書籍です。

この本の著者・黒田武一郎(くろだ・ぶいちろう)さんは、元総務省の官僚で、広島市財政課長や熊本県副知事など地方団体への出向も経験しながら、地方債課長・交付税課長・財政課長から自治財政局長と自治財政局内でキャリアを重ね、最終的には総務事務次官まで上り詰めた方です。

いわば「地方財政制度の制度設計のスペシャリスト」ともいえる黒田武一郎さんが書いたこの本は、地方交付税と、そのベースとなる地方財政制度について、官僚の文章にありがちな小難しい専門用語を並べ立てるのではなく、できるだけ平易な言葉で説明してくれている点に、大きな特徴があります。

また、単に交付税制度について説明するのみならず、自治体の財政担当者としての心構え、ひいては地方公務員としてのについても書いてくれている点が、とても心強い一冊です。

【オススメ③】実務から読み解く 地方財政入門

続いて、「実務から読み解く 地方財政入門」をご紹介いたします。

この本は、先述の小西砂千夫先生と、兵庫県川西市の職員である松木茂弘さんの共編著という形になっています。

そして、中は小西先生とかかわりのある、さまざまな自治体の職員が、それぞれのパートについて執筆する、いわばオムニバス方式の地方財政入門書です。

この本の各パートは、学者や官僚ではない、地方自治体で実際に財政実務に携わった職員による文章となっています。

ですので、地方自治体サイドで財政にかかわっている方にとっては、非常に親しみやすい構成になっていると言えるでしょう。

一方で、書籍の内容全体を、小西先生がしっかり監修して下さっているおかげで、本の内容が、個別自治体の具体事例紹介に終わることのない、マクロとしての地方財政制度への学びにつながっている点が非常に興味深いところです。

この本は、2013年(平成25年)出版と、少し古い時期のものになりますが、今でも十分通用する内容となっており、自治体サイドで財政実務に携わっている方には、特にオススメと言えるでしょう。

ちなみに、この本の共著者である松木茂弘さんは、2023年11月現在、兵庫県川西市の副市長にまでなっておられます。

まとめ

以上、本日は、地方財政制度について学べる、オススメの本について、ご紹介いたしました。

地方財政制度は、地方自治にかかわるものにとって、必要不可欠な知識なのですが、これを正しく学べる書籍は決して多くありません。

それゆえに、不正確な理解で、不適切な言説を流布させてしまっている人が、有名・無名を問わず、たくさんいるように思います。

住民福祉の向上や地域の活性化につなげるためにも、地方財政という、地方自治の「土台」の部分、しっかり勉強して、理解していきましょう!

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