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「地方公共団体」と「地方自治体」、どっちが正しい?

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【この記事で分かること】

  • 「地方公共団体」と「地方自治体」の違い
  • 法令用語としての「地方公共団体」
  • 「地方自治体」という言葉にこめられた理念

皆さん、こんにちは!まゆの地方自治情報局(@mayumist_lg)です!

国の職員…特に総務省の職員と話をしていると、すごく気になることがあります。

それは、

都道府県・市区町村のことを「団体」と呼ぶ

こと。

地方自治体(現時点ではあえてこう言います)の職員からしてみると、自分たちのまちのことを「団体」と呼ばれることに、なんとも言えない違和感を覚えるのではないでしょうか。

おそらく、多くの自治体職員は、都道府県・市区町村のことを「地方自治体」、または略して「自治体」と呼んでいます。

そして、当サイトでも、都道府県・市区町村のことは、原則として「地方自治体」「自治体」と呼んでいます。

都道府県・市区町村のことは、「地方公共団体」と呼ぶのか「地方自治体」と呼ぶのか、どっちが良いのか…。

本日は、国と地方の両方で公務員を経験し、現在は地方自治体向けのコンサル業務にかかわる私・まゆが、「地方公共団体」と「地方自治体」という言葉について、お話ししようと思います!

地方公共団体と地方自治体

そもそも、都道府県・市区町村のことを、法令用語で厳密にいうと、なんになるのか。

これは、地方自治について総括的に規定した、地方自治法において、定義づけがあります。

地方自治法(抄)

第一条の三 地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。
② 普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。
③ 特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合及び財産区とする。

そう、あくまで都道府県及び市区町村は、法令用語としては「地方公共団体」

逆に、実は「地方自治体」という言葉は、法令用語ではない、いわゆる一般的な通称になるんです。

加えて、「地方自治体」という言葉だと、一般には「都道府県・市町村・東京都特別区」が想起され、たとえば、自治体の事務の一部を担う一部事務組合等といった地方公共団体の組合まで想像が及ばないことが多いです。

一部自治組合等は「地方自治体」に含まれる?

一方で、総務省の立場からすると、事務的には「都道府県・市町村・東京都特別区」だけを対象として事務を進めるわけではありません。

たとえば、財政分野であれば、決算統計や地方債の同意・許可・届出といった事務については、「都道府県・市町村・東京都特別区」だけでなく、一部事務組合や広域連合も対象となっており、これらに対しても照会文書が発出されます。

また、行政分野だと、地方自治法の改正通知などといった通知も一部事務組合等に送付されますし、地方公共団体定員管理調査なども、一部事務組合等は調査対象になります。

総務省は、さまざまな事務を、「都道府県・市町村・東京都特別区」だけでなく、一部事務組合等に対しても行っていますが、「地方自治体」という言葉では、そこが見えてこないのです。

そこで、堅苦しいのは承知の上で、あえて法令用語である「地方公共団体」またはその略語である「団体」という言葉を使っている、という事情があるようです。

 

地方サイドの人間は「地公体」はあまり使わない

ところで、地方公共団体の略語として「地公体(ちこうたい)」という言葉があります。

この言葉、役所の外…たとえば銀行や自治体相手に事業を展開している民間企業などでは使われていたりすることもありますが、一方で総務省や地方自治体サイドでは、この「地公体」という言葉はあまり用いられていません

その理由は必ずしも明らかではなく、また想像することも難しいのですが、いずれにせよ、総務省的なスタンダードとしては、「地方公共団体」を略して言うときは「地公体」ではなく「団体」という言い方になっています。

あえて「地方自治体」という言葉にこだわる

このように、総務省では都道府県や市区町村のことを「地方公共団体」または「団体」と呼んでいますし、また地方サイドでも、法令・例規関係事務にこだわりのある人の中には「地方自治体」という言葉に違和感を覚えて「地方公共団体」と呼ぶ人が結構います。

一方で、そういった事情をわかった上で、あえて「地方自治体」と呼び続ける人もいます。

それはなぜか。

法令用語である「地方公共団体」という言葉には、地方サイドの人間が取り組んでいるミッションの根幹「地方自治」という言葉が出てこない

からです。

地方自治とは、「地方を自ら治める」と書きます。

選挙で選ばれた首長と、その補助執行機関である職員とが、同じく選挙で選ばれた地方議会議員と議論を積み重ねながら、条例や予算などを駆使して、自らが住むまちを良くしていく…。

こういった「地方自治の営み」は、「地方公共団体」という言葉からは見えてきません。この言葉の字面から受ける印象は、たとえ地方自治法に規定された法令用語であったとしても、どこまでいっても「地方における公共的な団体」にしかならないのです。

なので、都道府県や市町村に勤める職員は、そういった

「ここは、地方自治の舞台なんだ!」

という思いを込めて、地方公共団地のことを、あえて「地方自治体」と呼称することは、大いにアリなのではないかとも考えるわけなのです。

まとめ

以上、今回は、都道府県や市町村について、国で「地方自治体」という言葉を用いず「地方公共団体」または「団体」と呼ぶことについて、考察してみました。

地方自治法で定義づけられた法令用語は、「地方公共団体」であり、その地方公共団体は「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」に区分されます。

「地方自治体」という言葉は法令用語ではない上、この言葉では一部事務組合等といった「法的には地方公共団体だけど、地方自治体という言葉では想起しにくいもの」が抜け落ちてしまうことから、お堅くいえば「地方公共団体」「団体」という言葉がふさわしい、という考え方もあります。

一方で、「地方公共団体」「団体」といった言葉はあまりに冷たく、「地方自治」という言葉が見えてこない面もあります。

そういった視点から、プライドをもって地方自治の仕事に取り組むために、あえて「地方自治体」という言葉を使う選択は、私個人としては、大いにアリだと思います。

法令に基づいて「地方公共団体」「団体」という言葉を使う考え方

理念に基づいて「地方自治体」「自治体」という言葉を使う考え方

どちらも同じように尊重されるべきものかなとは思いますが、どちらの言葉についても、それ相応の考え方や理念、思いが詰まっていますので、これらの言葉の使い分けに際しては、そういったところにも思いを馳せながら、考えていきたいと思います。

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