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能登半島地震…災害救助・復旧スキームは?特別交付税?職員派遣?

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【この記事で分かること】

  • 能登半島地震を受けた災害救助法の適用状況
  • 能登半島地震における特別交付税算定の可能性
  • 能登半島地震を受けた自治体職員の応援派遣スキーム
  • 災害救助・復旧に係る事務負担の課題

皆さん、こんにちは!まゆの地方自治情報局(@mayumist_lg)です!

令和6年の元日に襲いかかってきた、能登半島地震。被災された方々には、心からのお見舞いを申し上げます。

報道されているように、今回の地震で、被災自治体はさまざまな被害を受けており、被災者の救助、そして復旧に向けての取組が必要になってきます。

このような状況下で、地方自治体は何ができるのか、どのようなスキームがあるのか…。

本日は、国と地方の両方で公務員を経験し、現在は地方自治体向けのコンサル業務にかかわる私・まゆが、今回の能登半島地震への対応に向けた、地方自治体の災害救助・復旧スキームについて、お話ししようと思います!

被災4県47市町村に災害救助法が適用

今回の能登半島地震を受け、被災4県47市町村で災害救助法が適用されることとなりました。

適用自治体は次のとおりです。

石川県 金沢市、七尾市、小松市、輪島市、珠洲市、加賀市、羽咋市、かほく市、白山市、能美市、津幡町、内灘町、志賀町、宝達志水町、中能登町、穴水町、能登町
新潟県 新潟市、長岡市、三条市、柏崎市、加茂市、見附市、燕市、糸魚川市、妙高市、五泉市、上越市、佐渡市、南魚沼市、出雲崎町
富山県 富山市、高岡市、氷見市、滑川市、黒部市、砺波市、小矢部市、南砺市、射水市、舟橋村、上市町、立山町、朝日町
福井県 福井市、あわら市、坂井市

災害救助法が適用されると、今後、被災者の救出や避難所の設置、生活必需品の提供、被災した半壊以上の住宅の修理などを行う場合、国が費用の5割から9割を、残りは県がそれぞれ負担することになります。

また、さまざまな災害復旧・復興のスキームは、この「災害救助法が適用されているか否か」が起点となっていることもあり、この災害救助法の適用は、そういった意味でも非常に重要です。

災害救助・災害復旧に要する経費は特別交付税で

先述のように、災害救助・災害復旧に要する経費については、災害救助法の規定に基づき国の負担があるのですが、一方で地方側にも財政負担が生じます。

こういった財政負担については、特別交付税で算定されるというのがセオリーです。

道府県分、市町村分ともに、「特別交付税に関する省令」において「災害による財政需要の増加又は財政収入の減少」を算定することとしており、今回の能登半島地震であれば、3月分の特別交付税算定において反映されることになると見込まれます。

被災地への職員派遣スキーム

また、東日本大震災のときにも注目を浴びましたが、大規模災害のときには、被災していない自治体が、被災自治体へ職員を応援派遣で送り出すことがあります。

これらは現在、総務省公務員部応援派遣室においてスキームが整えられており、

  1. 発災直後の短期派遣:応急対策職員派遣制度
  2. 復旧・復興段階の長期派遣:復旧・復興支援技術職員派遣制度等

といったものになっています。

応急対策職員派遣制度

まず、前者の「応急対策職員派遣」ですが、こちらは発災直後の災害応急業務(避難所の運営・罹災証明書の交付など)が主なミッションとされています。

位置づけとしては、派遣元自治体の公務出張ということになり、費用は派遣元自治体が負担するのですが、その費用については8割が特別交付税措置されることになります。

復旧・復興支援技術職員派遣制度等

続いて、復旧・復興支援技術職員派遣制度等では、災害復旧事業に係る設計・施工管理等といった、復旧・復興業務を主に担うことになります。

こちらは単純なマンパワーではなく、建築・土木等の専門性をもった職員が、ある程度長期で働くことが想定されているため、基本的には1年単位の派遣となります。

また、その派遣形態も、地方自治法に基づく職員派遣の形態をとり、人件費は派遣先自治体の負担となります。

なお、その派遣先で負担する人件費についても、特別交付税でその8割が措置されることになっています。

災害救助・復旧関係の事務も被災自治体の負担に…

ところで、これらの災害救助・復旧に係る事務については、国庫支出金の申請であったりとか、特別交付税の照会への対応、また派遣職員の受け入れに係る各種事務であったりと、さまざまな事務負担が発生します。

東日本大震災のときも、被災自治体の中には小規模な自治体が多く、目の前の被災者対応でいっぱいいっぱいな中、国の求める書類を作れるだけの余力がなかったり、またこれらの事務の難易度が高くて困ってしまった自治体もたくさんあったことが、大きな課題となっていました。

そのため、被災地現場において一般に必要とされている

  • 水道局職員
  • 環境部門の職員
  • 保健師
  • 土木・建築職

といった専門職に加え、「財政制度の知識がある職員」という応援派遣職員のニーズもかなりあったようです。

災害復旧・救助にかかる被災自治体の事務処理については、できるだけ簡素なものであることが望ましいと考えますが、一方でかなりの額のお金が動くため、そう簡単に簡素化できない面があるのも、また事実。

こういった、バックヤードで必要となる業務についても、国。被災自治体・応援自治体のそれぞれが、しっかり目配せする必要があると言えるでしょう。

まとめ

以上、本日は、能登半島地震への対応を意識して、地方自治体における災害救助・復旧スキームについてお話しいたしました。

災害救助法の適用を受けることで、自治体は財政支援が受けられるようになります。

また、特別交付税を通じた財源措置や、災害時の地方自治体職員派遣スキームなど、被災自治体を支援する、さまざまなしくみがあり、これらを被災自治体・応援自治体それぞれが活用しながら、災害救助・復旧に向けた取組を進めていくことになります。

ただし、これらのしくみを活用するためには、一定の事務負担が生じてしまうのもまた事実であり、地方自治体の中には、こういった事務に慣れていないところもあったりします。

こういった事務負担への配慮もしつつ、被災自治体の災害救助・災害復旧が少しも早く進むよう、地方自治体全体が一丸となって、取り組んでいければ良いな、と願っています。

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