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企画・政策と財政、組織は一体にすべき?分離すべき?

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【この記事で分かること】

  • 企画・政策部門と財政部門を組織上どのように整理するか
  • 企画・政策部門と財政部門を一体化するメリット・デメリット
  • 企画・政策部門と財政部門を分離するメリット・デメリット

皆さん、こんにちは!まゆの地方自治情報局(@mayumist_lg)です!

組織改正を行うに際し、

「企画・政策」部門と「財政」部門を一体化するか、あるいは分割するか

は、永遠の議論のテーマです。

また、首長が代わったタイミングで組織改正を大規模に行う場合、この部分を触ることは、比較的よくあるパターンでもあります。

そこで、本日は、国と地方の両方で公務員を経験し、現在は地方自治体向けのコンサル業務にかかわる私・まゆが、「企画・政策」部門と「財政」部門を一体化するか、あるいは分割するかについて、考えてみようと思います!

企画・政策部門の業務

一般的に、企画・政策部門は、次に掲げるような業務を所管します。

総合計画など長期的なまちづくりの考え方

企画・政策部門ならではの業務は、やはり総合計画でしょう。

首長の政治姿勢に必ずしも左右されない、長期的なまちづくりの考え方を示す総合計画の策定やその進行管理は、企画・政策部門の花形とも言ってよい業務です。

政策調整

そして、企画・政策部門のもう一つの花形は、政策調整業務です。

政策的な要素の強い事業の実施可否はもちろんのこと、事業の実施手法や、時には予算額について、首長の政治スタンスなども踏まえながら、実施に向けて原課や部局総務課と調整していくのも、企画・政策部門の重要な業務だと言えるでしょう。

なお、政策調整については、新しい事業を実施する「ビルド」だけでなく、団体の財政状況によっては「スクラップ」…すなわち事業を廃止する方向で調整することもあります。

渉外・秘書・広報業務

また、他団体との交渉や地方六団体への対応、首長秘書業務、また広報業務なども企画・政策部局のミッションとしてアサインされていることが多いです。

特に、他団体との交渉は広域行政の要素が、また地方六団体への対応は要望書をとりまとめる作業があり、企画・政策部局ならではのスキルやノウハウが活かされる業務だと言えるでしょう。

まゆ
まゆ
これらの業務は「秘書室」「首長公室」などという形で、企画とはまた別の、小さな部局を作るパターンもありますね。

財政部門の業務

続いて、財政部門では、次に掲げるような業務を所管します。

予算編成・予算査定

財政部門の業務といえば、やはりこれ。予算編成・予算査定です。

原課からの予算要求を受け、予算査定を行いつつ、歳入を見積もって、来年度予算案を作成し、議会に提案する…。

このプロセスの中で行われる「査定」は、原課が必要とする予算をカットしていくことが一般的であり、それゆえに財政課は多くの人からの嫌われ者になってしまいます。

財政計画

財政部門の仕事は、単年度の予算を編成するだけではなく、今後の財政状況の見通しを描く…いわゆる「財政計画」の策定もあります。

今後の税収の動向や地方交付税・臨時財政対策債の推計、歳出では人件費や扶助費、公債費などの動向を見通しながら、財政運営が持続可能なものとなっているかどうかを見通し、政策判断や自治体運営の基礎資料とする…。

この財政計画、きちんと策定できていない団体も多いですが、個人的には財政課にとって、単年度の予算編成以上に重要な仕事だと考えています。

まゆ
まゆ
このあたりの仕事をするときには、地方財政計画や地方交付税についての深い理解が必須です!

地方交付税・地方債

地方自治体にとって、地方税と並んで歳入の根幹となるが、地方交付税

この地方交付税については、さまざまなデータを用いながら算定を行う関係上、事務が結構大変ですが、これも財政課にとって重要な業務です。

また、わが国の地方財政制度は、地方財政計画・地方交付税を中心に成り立っており、この制度を正しく理解することは、財政運営を正しく行う上でも必要不可欠だと言えるでしょう。

また、ハード事業の財源となる地方債の同意・許可・届出に関する事務や、公債費の償還も財政課の重要な仕事です。

たかし
たかし
なお、これらについては、都道府県や指定都市など規模の大きな団体では「資金課」などのような別課を設置して担当している事例も見られます。

企画・政策と財政を一体化すると…

さて、こういった企画・政策部門と財政部門については、同じ部局内に置くパターンと、別部局に分けるパターンと、いくつかのパターンがあります。

まずは企画・政策部門と財政部門を一体化する場合について検討してみましょう。

企画・政策部門と財政部門を一体化すると、各年度の政策調整において、予算面の見通しを持って検討を行うことが可能になります。

たとえば、首長の公約で実施することになっている事業について、これを実施すると、後年度の財政運営にどのような影響を与えるか。

また、大規模なハード事業を実施する場合、どれだけの地方債を発行して、その公債費負担がどれだけになり、財政計画にどのような影響を与えるか。

こういった、後年度の財政運営に思いを馳せながら、一方で政策的な必要性についても十分に吟味を行うことで、バランスの良い政策調整を行うことが可能になります。

企画・政策と財政を分離すると…

一方、逆に企画・政策と財政を分離すると、どうなるか。

企画・政策部門は「まちづくりのため」「首長の政治理念実現のため」という、政策目的に純化する形で、総合計画や政策調整に取り組むようになります。

このため、政策的には非常にエッジの立った、優れた企画がたくさん打てるようになります。

ただし、企画・政策部門の長は、自らが直接的に財政運営にかかわるわけではないため、どうしても財政面への目配せは少し弱くなります。

その代わり、財政部門の長が、予算面についてはしっかりとチェックすることになるわけですが、逆にこちらは政策的な目線を持っていないため、財政部門ロジック…すなわち「いかに予算を抑えるか」「いかに余力のある財政運営を行うか」という視点に、こちらもまた、純化してしまうわけです。

これら企画・政策部門と財政部門が対等な関係であれば健全な議論ができますが、たとえばそれぞれの部局長同士で、採用年次の関係や元上司部下などといった関係に起因する、人間関係上の上下関係ができてしまうと、現実問題としてどちらかが強くなってしまい、判断が歪んでしまうことがあります。

これらを首長・副首長が調整できれば良いのですが、首長が実務的なことを職員に任せていたり、副首長が外部の人だったりすると、こうした調整も施されず、「バランスの悪い判断」で政策調整・予算編成が行われてしまうことにもなりかねません。

基本的には一体化が望ましい…が、正解はない

こうしたことから、

基本的には企画・政策部門と財政部門については、少なくとも部局長のレベルにおいては一本化しておくことが望ましい

と考えています。

少なくとも、企画・政策と財政が対立したときに、

  • 両者の協議において、組織論と直接関係のない人間関係で決着してしまうことがあること
  • 両者の調整を、直接実務を担うわけではない首長や副首長が直々に行うことにはリスクがあること

といったことを考えると、企画・財政の分離方式にはリスクやデメリットが大きいように感じられます。

ただし、企画・政策と財政を独立させ、純化させることで、個々の視点に立った議論の成熟度が高まるのも、また事実。

もし首長が自ら実務的な議論に入っていくことを望む場合、自らが両者を積極的に調整していけるというのであれば、分離方式も必ずしも悪いことだとは言えません。

実際、多くの自治体では、企画・政策と財政を統合したり分離したりと、試行錯誤を繰り返しているような状況です。

おそらく、この問題には正解がなく、だからこそ多くの自治体で試行錯誤が行われたり、あるいは首長が代わる都度、組織改正の方針転換があったりするのでしょう。

まとめ

以上、本日は、企画・政策部門と財政部門について、一体的な組織とするのが良いのか、あるいは分離するのが良いのかについて、検討を行ってみました。

地方自治体の組織において、舵取り役の中心となる、これら2部門。両者を一体的に運営するのか、あるいは分離するのかについては、各団体で…あるいは各首長で、さまざまな見解があるような状況です。

一般的には、一本化しておいて、首長のところに上がる前に一定の調整がついた状態にする…というのがセオリーなように思いますが、一方であえて分離させ、それぞれを競わせるように組織運営をしたうえで、最後は首長が調整するというやり方をとっているところもあります。

いずれにせよ、この「企画・政策部門と財政部門の一体化or分離」議論は、各首長の、そして各自治体の組織に関する哲学が色濃く表れているところであり、個人的には大変興味深く見ているところです。

ぜひ皆さんの自治体も、企画・政策部門と財政部門を、組織管理上どのように扱っているか、見てみてください。なかなかおもしろくて、興味深いですよ!

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