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「公務員は人気の仕事」なのか?

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【この記事で分かること】

  • 「公務員は人気の仕事」なのか?
  • 公務員の転職志向が高まっている背景
  • 役所は公務員の転職志向を止められるのか

皆さん、こんにちは!まゆの地方自治情報局(@mayumist_lg)です!

安定しており、「子供に就かせたい職業」の上位に来る公務員という職業。

しかし、この公務員という職業への評価は、最近すっかり様変わりしており、なり手不足も指摘されている上、公務員から民間企業への転職も数多く見られるようになりました。

なぜ、公務員の転職志向が高まっているのか…

本日は、国と地方の両方で公務員を経験し、現在は地方自治体向けのコンサル業務にかかわる私・まゆが、公務員の転職志向が高まっている理由などについて、考察してみようと思います。

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公務員は本来人気の職業だった

公務員は長い間、安定した雇用と公正な労働条件を提供することから、人気のある職業であるとされていました。

実際、民間企業が実施するアンケートにおいて、「親が子供に就かせたい職業」では、毎年1位になっているなど、その人気ぶりには定評があります。

また、景気を問わずに安定しており、不景気でもクビになりにくいとされている公務員は、特に景気下降局面において、多くの人からうらやまがられたものです。

また、仕事についても「国のため」「地方のため」といった高い志で働く事も出来ましたし、福祉を志す者にとっては「一人一人の生活を守るため」という目的で働くことができるなど単に「安定」だけにとどまらない「やりがい」が感じられる職業であるとも評価されています。

なぜ、高まる公務員の転職志向…

しかし、近年では「公務=人気の職業」という図式が、少しずつ崩れ始めて行っている実感があります。

X(旧Twitter)を見ても、多くの公務員がネガティブな情報発信をしていたり、転職活動に励む様子が報告されていたり…。

この様子を見ていると「公務員=人気の職業」とか「親が子供に就かせたい職業No.1」というような話は、にわかには信じられなくなってしまいます。

いったいなぜ、公務員の転職志向は高まってしまっているのでしょうか?理由をいくつか、考察してみることにします。

【理由①】公務員の労働時間が想像より長い

まず、公務員のことをよく調べずに就職した人の多くが

「勤務時間は9時5時で、土日は休み」

というのを想像しており、「プライベートな時間がたっぷりあって、趣味に家庭にと充実した時間を過ごせる」というふうに思っているようです。

しかし、実際は、「勤務時間は9時5時で、土日は休み」というふうな労働環境にある職場はごく一部。

例えば地方自治体の場合、財政課や企画課、部局総務課のような、「役所全体を管理する部署になると、帰宅時間が21時~22時は当たり前、ピーク時には午前様や徹夜も当たり前のようにあります。

また、本府庁勤務国家公務員の場合はさらに過酷で、国会対応や政治案件、予算などがかかわる部局にいたりすると、連日のタクシー帰りは当たり前で、ヘタしたら月曜日に出勤した後、金曜日までずっと泊まり込み…みたいな状況も当然のように存在します。

こういった厳しい労働環境に置かれることで、

「思っていたのと違う」

「こんな労働環境では、心身が壊れてしまう…」

となり、違う仕事を探してみたくなってしまうのです。

【理由➁】官僚制組織の中でやりがいが見いだせない

公務員が働く官公庁は、国・地方を問わず、いわゆる「官僚制組織」の体をとっています。

官僚制組織は、組織内で明確な階層が存在し、上位の管理者が指示を下し、下位の職員がそれを実行するという形態が取られます。

例えば、市役所の場合だと、

市長←副市長←部長←課長←係長←一般職員

といった具合のヒエラルキーがあり、このヒエラルキーに沿った指揮命令系統(上司・部下関係)が組まれ、それに基づいて職務が遂行されます。

この制度の特徴としては、ルールや手続きに厳格であることが挙げられます。

官僚組織では、法律や規則に基づいて業務が遂行され、行政プロセスが透明性を持つようになっています。また、役割は個人のパーソナリティというよりも、組織・人事配置によって割り当てられ、職務の遂行において個人の判断よりも組織の方針や規定が優先されてることがあります。

このことにより、職務の処理方針に統一性が保たれ、組織秩序は保ちやすくなるのですが、一方で官僚制組織は職務遂行にかかる手続きが複雑であり、意思決定が遅れることがあります。

また、組織上層部が情報を抱えて下に下ろさないことによる情報の非対称性も生じがち。

このような状況下では、効率性や柔軟性が損なわれることがあり、組織全体のパフォーマンスに影響を与えることもありますし、また職員個人…特に若手職員の柔軟性や創造性が発揮されにくい組織文化になってしまいます。

こういった組織の中で、

「やりたいことができない」

「手続きが面倒すぎて、意味ない仕事ばかりやっている気分になる」

「前向きに新しい仕事をやることが『悪』のように思われる」

といった閉塞感を覚え、これが若手職員の転職誘因要因となっています。

【理由③】カスタマーハラスメントが過酷

役所…特に市役所・町村役場や都道府県の福祉事務所など、住民に身近なところで起こりがちなのが、カスタマーハラスメントの問題

カスタマーハラスメントについては、官民問わず大きな問題となっておりますが、民間企業では厚生労働省によってガイドライン等も示され、少しずつ対策に本腰を入れている企業も増えてきているところです。

一方で、役所の場合「住民の声を聴くことも仕事」という組織文化が強く根付いているためか、カスタマーハラスメントを行うような住民に対して、組織として毅然とした態度を取ることができず、結果として現場の若手職員がカスハラ住民と直面せざるを得なくなって疲弊してしまいがちです。

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このカスハラ対応それ自体で職員が疲弊してしまうことはもとより、「民間ではカスハラ対策が出来ているのに、なぜ役所はそれができないんだ」といった不満が若手職員に渦巻くことで、これもまた、転職への引き金になってしまっているようです。

役所は若手職員の転職を食い止められない…

このように、若手職員たちが、巷で「人気」とされている公務員になったものの、就職後に厳しい現実に直面し、転職を検討し出すという光景は、ここ数年本当によく見られるようになりました。

そしてこの話は、役所の人事課をはじめ経営部門の立場で見ると、「人材の流出危機」ということにもなります。

一般に、多くの若手従業員が職場環境に不満を持って転職に動き出す…というのは、非常に危機的な状況であり、何らかの対策が求められるところではあるのですが、果たして対策は取られているのでしょうか?

実際のところ、若手職員が転職理由として掲げる問題点は、役所の根幹にかかわる課題ばかりであり、それらを解決することは、はっきり言って非常に困難です。

労働時間の長さを解決するためには、仕事量を減らすか職員数を増やすしかありませんが、行政課題が複雑多様化し、また政治ルートから新たな仕事がたくさん押し付けられる中、仕事量を減らすことははっきりいって至難の業。

また、職員数を増やすことも、たとえ人件費の予算に余力があったとしても、これだけ「人手不足」が言われている中、ましてや公務員人気に陰りがでてきている状況では、現実的ではないでしょう。

そして、役所の官僚制組織を是正することも至難の業。たしかにイノベーションが起こりづらい組織風土になってしまうのですが、一方で地方公務員法が上司・部下による指揮命令権の存在を定めており、また法令に基づく事務を粛々とこなす局面においては官僚制組織のメリットもあることから、これをそう簡単に直すこともありえなさそう。

かろうじて対策が進められそうなカスハラですが、こちらも役所全体の優先順位としてあまり高くなさそうで、一部自治体を除き、まともな検討がなされている形跡は見られません。なお、カスハラ対策については、どの部署で担当するかでもめている自治体も多いと聞きます。

もちろん、役所サイドも若手職員たちにとって働きやすい環境を作りたいという想いはあるものの、その想いは現実問題として、形になっていないのが実情です。

まとめ

以上、本日は、公務員の転職志向が高まる背景について考察させていただきました。

一般的には「人気の職業」と言われている公務員ですが、実際の労働環境は非常に厳しく、若手を中心に、多くの人々が不満を持っています。

そして、その不満に耐えられなくなると、転職に向けて動き出してしまう…これが実情です。

公務員が現状に不満を持ち、転職の誘因となってしまう理由として

  • 労働時間の長さ
  • 官僚制組織に起因するやりがいのなさ
  • カスハラへの無策

の3点を整理させていただきました。

これらの課題が解決されれば、公務員の転職志向は止まるのかもしれませんが、現実としてはこれらの課題解決は非常に難しく、現状を維持するしかないのが実情です。

ですので、公務員の中で、もし現状に不満があり、これ以上この仕事を続けるべきかどうか迷っている…という人がいればできるだけ早めに、転職に向けて動き出すことを、強くオススメします。

転職は、若ければ若いほど、労働市場での価値が上がります。今、この瞬間があなたにとって、一番若いとき。

転職を考えている公務員の方、ぜひできるだけ早めに、転職に向けて動き出してみてください!