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【クマ問題で注目】行政・公務員のカスハラ対策、なぜ進まない?

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【この記事で分かること】

  • クマ問題で注目を浴びる行政のカスハラの現状
  • なぜ行政でのカスハラ対策は進まないのか
  • 行政のカスハラ対策を進めるためには、どうすれば良いか

皆さん、こんにちは!まゆの地方自治情報局(@mayumist_lg)です!

行政職員をやっていると、乱暴な言葉を投げかける住民、何度も訪問して長時間居座る住民など、度を超した住民対応に悩まされることも多いと思います。

これらは、民間では「カスタマーハラスメント」として対応されますが、行政ではこういったカスハラ対策への動きが鈍いのが現状です。

なぜ、行政のカスハラ対策は進まないのか…。

本日は、国と地方の両方で公務員を経験し、現在は地方自治体向けのコンサル業務にかかわる私・まゆが、行政のカスハラ対策について、お話ししようと思います!

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クマ問題で注目を浴びる「行政へのカスハラ」

令和5年11月、クマ被害の問題が世間をにぎわせています。

クマがえさ不足などの理由で人里に降りてきて、人や農作物等に被害を与えることから、自治体は地元猟友会等と連携して駆除に取り組んでいるのですが…

これについて、

クマがかわいそうだ!

などといった苦情の電話が自治体に大量に入り、自治体本来業務に大きな支障が出ています。

本稿では、クマ駆除の是非について議論するものではありませんが、このように、

「住民等からのクレームで行政の業務がストップする」

という現象は、昨今、多くの自治体でみられるようになりました。

まゆ
まゆ
クマ駆除に関しては、別記事を書いていますので、こちらをご覧ください!
自治体を悩ますクマ問題、「かわいそう」では済まない?駆除すべき? 【この記事で分かること】 地方自治体におけるクマ問題の現状 北海道東北地方知事会が行ったクマ問題に関する緊急...

もちろん、こういったクレームが本来業務の支障となる現象は、行政や自治体のみならず、民間企業等でも多々見られます。

こういった、過度なクレームを入れる人たちのことは、「モンスターカスタマー」と呼ばれ、従業員等への過度なクレームも「カスタマーハラスメント」、通称「カスハラ」として注目されるようになりました。

民間におけるカスハラ対策は進んでいる

さて、こういった「モンスターカスタマー」「カスタマーハラスメント」への対策は、民間企業では強い課題意識のもと、積極的に取り組まれています

民間企業の場合、たとえば店内で怒鳴る客がいると、

  • 他の客が不安になって客足や売り上げに影響が出る
  • 過度なクレームに対応している時間が機会損失になる
  • 従業員の安全確保や就労意欲にも課題が出る

といったことから、

民間企業の場合、カスタマーハラスメント対策に積極的に取り組む動機付けが非常に強い

です。

ですので、たとえば

  • 毅然とした態度で「対応しない」旨を通告する
  • 事実確認のため証拠となる録画・録音を行う
  • 暴力・暴言事案については、警察や弁護士に相談する

などの対応に、積極的に取り組んでいます。

また、厚生労働省も、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルや対策リーフレットなどを公表するなど、民間企業におけるカスハラ対策についてはかなり機運が高まっている状況です。

行政の世界ではカスハラ対策がほとんどない

一方、公務員の世界はどうか。

実は、公務員の世界では、国・地方ともに、カスタマーハラスメント対策に取り組んでいる状況は、ほとんど見られません

国の方では、人事院も各府省の官房も、カスハラ対策に取り組んでいる様子は見受けられません。

また、地方の方でも、総務省公務員部が全体的な方針を示すこともなければ、各自治体においてもカスハラ対策がなされている様子は見られないのです。

まゆ
まゆ
あえて言えば、自治労がカスハラ対策を公表しているくらいですね。

住民対応部署などでは対策も見られるが…

次に、地方の現場におけるカスハラの状況を見ていきます。

実は先ほど、「地方の現場ではカスハラ対策はない」というようなことを書きましたが、これはオフィシャルには示されていないだけで、実際は部署単位で何らかの対策がとられていることがあります。

たとえば、税務などのように、公権力を行使して不利益処分を下せるような職場では、相対する住民と対立することが予想されます。

また、福祉部門や公営住宅部門、公園部門などもトラブルが多いところ。こういったところでは、たとえば警察OBを配置して、高圧的・攻撃的な住民への対応に備えるなど、リスクの高い部署ではカスハラ対策と呼べるものが整っています

広報・広聴部門ではカスハラ対策がない…

では、どのような部署が「カスハラ対策なし」の問題を受けるのか…。

よく聞くのは、広報・広聴部門です。

住民の方が、広報物などを見て、その内容が気に入らない、あるいはデザインが気に入らないなどの思いをもって、広報・広聴部門にクレームを言いに行く。

はじめはきちんと話を聞くのですが、住民は話を聞いてもらえることに気をよくして、何か新しい広報物が出るたびに役所を訪問して、担当者を1~2時間は説教し続ける。

繰り返しの訪問は、カスタマーハラスメントに該当する旨、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルには、明示されています。

2.リピート型

●理不尽な要望について、繰り返し電話で問い合わせをする、または面会を求めてくる。

ですので、度を越した複数回の訪問は、民間企業であればカスハラとして対応することが一般的なのですが、役所の…それも、広報・広聴部門の場合、「話をしに来た住民の話を聞くことが仕事」という側面もありますので、「カスハラ」としてシャットアウトすることにためらいがあるとの話は、よく聞こえてきます。

カスハラ対策は現場任せにせず総務部門で旗振りを

今回は、広報・広聴部門でカスハラの事例をご紹介しましたが、こういった度を越した複数回の訪問⇒高圧的な説教」のパターンは、部門を問わずに、どこでも起こりえる話です。

そして、日常的にクレーマーとの対応をしている部署でない限りは、こういったカスハラへの対応を組織として行うことができず、結果として職員が疲弊してしまう…という状況に陥ってしまいます。

冒頭にご紹介した「クマ駆除への苦情」の事例もまた、これに当てはまるものだといえるでしょう。

一方で、「クレーマーの多い部署では自発的にできているんだから、部署単位で対策を考えたらよろしい」というふうに、対応を各部署任せしてしまうと、先述の広報・広聴部門のように「話を聞くことが仕事」のところでは対処方針を考えることが組織ミッションと逆行するようなことになり、抵抗感が生まれてしまう…というふうになってしまいます。

そこで、公務員におけるカスハラ対策については、

  • まずは役所の総務部門が、部署を問わずに、毅然とした対応をできるようなマニュアルを整備する
  • 人事院や総務省公務員部は、任命権者の総務部門がカスハラ対策に取り組むよう、通知等で促していく

といった動きが必要なのではないかと考えています。

カスハラ対策については、組織として取り組むことが重要です。そして、その「組織」は、できる限り大きくあることが望ましい。

なので、「部署単位」という、最小単位の組織ではなく、「役所の総務部門」という規模で、部局横断的に対応する。

そして、複数の役所が同じような対応をできるよう、総元締め的な存在である人事院や総務省公務員部がそういった動きを支援していく…ということが重要なのです。

民間企業におけるカスハラ対策は、厚生労働省が一定の考え方を示していることが、各企業の後ろ盾になっているという話もあります。

人事院や総務省公務員部は、まさにそういった役割が求められていると言えるでしょう。

まとめ

以上、本日は、昨今話題の「クマ駆除に対する理不尽なクレーム」をきっかけに、公務員のカスハラ対策についてお話しさせていただきました。

民間企業の方ではカスハラ対策が進んでいますが、役所では一部の部署を除き、カスハラ対策が十分だとは言えません。

その背景には、役所というのは、広報・広聴部門に代表されるように「住民の声を聴く」ことが仕事になっている、という面もあるように思います。

しかし、それを言い訳に、カスハラ対策を放置しておくと、職員はどんどん疲弊していき、そのことが役所全体のパフォーマンスを下げ、ひいては住民福祉の悪化につながりかねないのです。

行政課題が複雑多様化する中、公務員一人一人が、モチベーション高く職務に取り組める環境を作ることは、すべての役所共通の課題です。

ぜひ、各役所の総務部門は、分野横断的なカスハラ対策の方針を

そして人事院や総務省公務員部におかれては、各役所がそういったカスハラ対策に取り組むことを促す取組を。

こういった、組織として職員を守るための取組を、積極的に仕掛けていっていただきたいと思います。

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