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阪神・オリックス優勝パレードのクラファンはなぜ失敗したのか?

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【この記事で分かること】

  • 阪神・オリックスの優勝パレードの概要
  • 優勝パレードと大阪府・兵庫県・万博協会との関係
  • なぜ優勝パレードのクラファンは資金が集まらないのか?

皆さん、こんにちは!まゆの地方自治情報局(@mayumist_lg)です!

令和5年(2023年)のプロ野球は、セ・リーグは阪神タイガースが、そしてパ・リーグはオリックス・バファローズがそれぞれリーグ優勝&クライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズで対戦。

第7戦までもつれた日本シリーズは、最終的に阪神タイガースが4勝3敗でオリックスを破り、38年ぶりの日本一となりました。

この、関西に拠点を置く2球団によるリーグ優勝&日本シリーズは、関西を大いに盛り上げたことから、大阪府と兵庫県では、優勝パレードを企画する話が持ち上がり、進められているのですが…

そのパレードの財源にクラウドファンディングを使おうとしたところ、そのクラウドファンディングの資金が思うように集まらない、といった現象が生じています。

関西で、阪神とオリックスの優勝パレードのために行うクラファン…いかにも盛り上がりそうなのに、なぜ失敗してしまっているのか。

本日は、国と地方の両方で公務員を経験し、現在は地方自治体向けのコンサル業務にかかわる私・まゆが、阪神・オリックス優勝パレードのクラファンがなぜ失敗しているのかについて、お話ししようと思います!

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阪神・オリックスの優勝パレードとは

令和5年のプロ野球は、冒頭にも書いたように、阪神タイガースとオリックス・バファローズという、関西2球団がそれぞれリーグ優勝を果たし、関西は大いに盛り上がりました。

そこで、阪神タイガースの本拠地である甲子園球場が立地する兵庫県と、オリックス・バファローズの本拠地である京セラドームが立地する大阪府とが連携し、両チームのパレードを、大阪府と兵庫県の両方で行う計画が持ち上がりました。

一応、立て付けとしては「阪神=兵庫県」「オリックス=大阪府」となってはいるものの…

「関西の人気球団」である阪神タイガースは、もちろん大阪府にもたくさんのファンがいます。

また、プロ野球のオールドファンの方であれば、阪神はもともとが「大阪タイガース」であったことをご存じのことでしょう。

また、オリックス・バファローズは、ルーツをたどると、近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブが合併してできた球団なわけですが、そのオリックス・ブルーウェーブは「がんばろうKOBE」を合言葉に、阪神・淡路大震災の復興に取り組む兵庫県民に大きな希望を与えていました。

そして、そのオリックス・ブルーウェーブのルーツは、兵庫県西宮市に拠点を置く「阪急ブレーブス」であり、そういった点からも兵庫県にルーツを持つ球団だと言えます。

このように、両チームが兵庫県・大阪府ともに関係しているという状況にあります。

これに加え、関西の政治的な事情を見ると、兵庫県の斎藤元彦知事は、もともとが大阪府財政課長だった縁もあり、選挙に際して元上司にあたる大阪府の吉村洋文知事、そして日本維新の会の支援なども受ける中で兵庫県知事選挙を勝ち抜いた、という経過もあり、政治的にも大阪府と兵庫県は非常に近いという状況です。

こういった要因が複合的にからみあって、2023年の優勝パレードは、大阪府と兵庫県とが連携して、阪神・オリックスが同日に、それぞれの場所でパレードをすることになったのです。

財源はクラファン…だけどお金が集まらない!

さて、その優勝パレードですが、大阪府と兵庫県という2つの府県がかかわりあっているとはいえ、これら2団体が直接的に予算を支出するわけではありません。

これらパレードの運営経費は、協賛金とクラウドファンディングで調達することとされています。

クラウドファンディングの目標額は5億円とされていますが…

最終的に優勝パレードのために集まったお金は、クラファン終了時点であるとなった2023年11月30日時点で集まっている金額は約1億400万円と、

開催当日でありながら、目標額の20%程度でしかない状況

という、非常に厳しい結果で終わってしまいました。

なぜクラウドファンディングは失敗したのか?

通常、これだけ注目度が高いイベントで、クラウドファンディングが失敗に終わることはあまりありません。

ましてや、今回のイベントは、熱狂的なファンを多数抱える阪神タイガースの優勝パレード。

38年ぶりの日本一で、関西が大いに盛り上がっている中、クラウドファンディングだけが、明らかに低調な結果に終わったことに、多くの人は、奇妙さを感じていることでしょう。

なぜ、今回の優勝パレードにかかるクラファンは失敗に終わったのでしょうか…。

以下、理由をいくつか考察してみました。

【理由1】万博を絡めたことで世論が冷めた

まず、これは今回の優勝パレードの企画における、最大の失敗だったのですが…

優勝パレードに、万博を絡めてしまった

ことにより、ネットで多くの人々から批判を浴びてしまうことになったこと。

今回の優勝パレード、正式名称は、次のとおりとなっています。

兵庫・大阪連携「阪神タイガース、オリックス・バファローズ優勝記念パレード」
~2025年大阪・関西万博500日前!~

このイベントの記者発表時、写真に写っていたのは

  • 大阪府・吉村知事
  • 兵庫県・斎藤知事
  • 関西経済連合会・松本会長
  • ミャクミャク(万博のイメージキャラクター)

の4名。そして、写真のバックパネルは、もろに大阪・関西万博のもので、

「優勝パレードと万博を絡めたい」

という行政の思いが、これでもかというくらい、露骨に表れていました。

これに多くの阪神・オリックスファンは、

阪神・オリックスのパレードを万博の宣伝に利用するな!
せっかくの阪神・オリックスの優勝を、政治利用された気分で冷めるし萎える…

と、猛反発。

この世論は思いのほか強く、さまざまなネットニュースや新聞でもこうしたファンの声が報じられるようになります。

こうした声を受けてか、現在、大阪府・兵庫県の公式ホームページや、クラファンの募集サイトからは「万博」という表現はほぼ見つからないようになっています。

【理由2】リターン品がつまらない

そして、今回のクラファンに、多くのファンの気持ちが動かない、もう1つの要因が、

リターン品がつまらない

こと。

クラファンの募集サイトを見てみると…

たとえば

3,000円 キーホルダー、ハンドタオルなど
5,000円 ワッペン、缶バッジなど
10,000円 タオル、クッション、Tシャツなど
30,000円 パーカー、タンブラーなど
50,000円 メタルグラフィ、ユニフォーム
100,000円 パブミラー、フォトフレームなど

というラインナップなのですが…

そのほとんどが、普通に球場近くのグッズショップや、ネット通販でほぼ同様のものが買えるグッズばかり。

何なら、一生懸命応援しているファンなら、とっくに持っているグッズばかりのことでしょう。

政策目的に賛同しなくても、返礼品が魅力的であればクラファンの資金が集まることはあり得るわけですが…

その返礼品が市販品とほぼ同等では、はっきり言って集まる資金も集まらなくなることでしょう。

まゆ
まゆ
クラファンはふるさと納税と違って、税控除もありませんしね。
税控除が手厚すぎるせいで、ふるさと納税はふるさと納税で別の課題が出てますけどね…。
たかし
たかし

【理由3】支援が集まらなくてもパレードは実施される

そして、今回のクラファンについては、「All-in形式」という形で行われています。

これは何かと言うと、

クラウドファンディングで集まった資金が、たとえ目標額に達さなかったとしても、プロジェクトは予定どおり実施する

という形のものです。

まゆ
まゆ
この反対が「All or Nothing形式」で、資金が集まらなかった場合、事業は実施されず、お金ももらえない方式です。

今回のクラファンは、たとえお金が集まらなかったとしても、他から協賛金を集めるなどして、予定どおり優勝パレードは実施されます。

パレードを待ち望んでいる人にとっては安心ですが、一方で資金を拠出する側から見ると、

なんだ、自分がお金を出しても出さなくても、結局パレードは実施するんだ
だったら、私がお金を出す意味はないよね

となりますので、お金を出す動機付けが発生しにくくなってしまうのです。

それでも返礼品が魅力的であれば一定の資金が集まるのですが、今回の場合は返礼品もほぼほぼ市販のグッズ。

そしてそもそも「優勝パレードに便乗した万博の宣伝」というふうに、多くの人が拒否反応を示してしまっている現状…。

こんな状態で、5億円もの大金を集めろという方が無理なのです。

【まとめ】大阪府・兵庫県の状況判断力が心配…

以上、本日は、阪神・オリックスの優勝パレードにおけるクラウドファンディングについてお話しいたしました。

今回の阪神・オリックスの優勝は、関西においては非常に大きなトピックスとなっており、地域は大いに盛り上がっています。

一方で、それだけ地域が盛り上がっているにもかかわらず、今回の優勝パレードについては、非常に批判的な声が強いです。

そして、その批判的な声を定量化して示しているかのように、クラウドファンディングは、目標の約2割しか達成できないという、非常に厳しい結果に終わってしまいました。

なぜ、このようなことになってしまったか。いくつか原因を考察いたしましたが、根底にあるのは、

大阪府・兵庫県は、「万博と阪神・オリックスの優勝パレードを絡める」という、初動で致命的な大失敗をしてしまった

ということに尽きると思います。

「結果論」と言われるかもしれませんが、万博の世論は決して好意的ではない中、政治的・行政的にニュートラルなお祝い事である「阪神・オリックスの優勝」と万博を絡めたら、このような批判が起こることは、容易に想像できたはず。

大阪府・兵庫県、あるいは万博協会事務局に、このようなことが起こる懸念を進言できる事務方はいなかったのか。

あるいは、大阪府・兵庫県ともに、「万博の成功」というミッションが強烈に重くのしかかっているがゆえに、あらゆる案件を万博に結びつけようという組織文化が根付いてしまい、事務方も冷静な判断力を失っていたのか…。

地方自治に関心を持つ者の目からすると、今回の「優勝パレードのクラファン問題」は、大阪府・兵庫県という大きな2つの府県が、状況判断力を失って、おかしなことになっているのでは…

そんな心配ごとが、どうしても、ふと頭をよぎってしまうのです。

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