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札幌市の先駆的なカスハラ対策!悩む自治体の先進事例に!

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【この記事で分かること】

  • 札幌市の先駆的なカスハラ対策の取組
  • 札幌市が製作したカスハラ対策ポスターの中身
  • 地方自治体が先駆的にカスハラ対策に取り組む勇気

皆さん、こんにちは!まゆの地方自治情報局(@mayumist_lg)です!

地方自治体の職員を悩ませる、行政向けカスタマーハラスメント問題

当サイトでも、以前、過激化するクマ保護団体からの苦情問題を契機に、「行政のカスハラ対策が進まない…」といった問題提起をさせていただいたところです。

【クマ問題で注目】行政・公務員のカスハラ対策、なぜ進まない? 【この記事で分かること】 クマ問題で注目を浴びる行政のカスハラの現状 なぜ行政でのカスハラ対策は進まないのか...

一方で、カスハラ対策について、先駆的な取組を進めている地方自治体があります。

それが、札幌市

本日は、国と地方の両方で公務員を経験し、現在は地方自治体向けのコンサル業務にかかわる私・まゆが、札幌市のカスハラ対策について、お話ししようと思います!

なかなか進まない行政のカスハラ対策…

これは別記事でも書いている話で、改めておさらいになるのですが…

なぜ、行政においてカスハラ対策が進まないのか。

そこには、

行政のカスハラ対策が進まない背景には、「行政は基本的には住民の声を聴くところである」「住民一人ひとりに、丁寧に寄り添うべきである」という考え方がある

ように思います。

そのため、クレーマーめいた住民の声に対しても、良くも悪くも丁寧に対応してしまい、住民の方は「対応してもらえる」と図にのる一方、対応している現場の職員は疲弊してしまいがち。

一方で、民間はというと、厚生労働省が定めるガイドラインなども参照する中で、しっかりとしたカスハラ対策を講じているところも多く、たとえ「お客様」であったとしても、度を越えたクレーマーに対しては、組織として毅然として対応しているところが多いです。

【クマ問題で注目】行政・公務員のカスハラ対策、なぜ進まない? 【この記事で分かること】 クマ問題で注目を浴びる行政のカスハラの現状 なぜ行政でのカスハラ対策は進まないのか...

札幌市のカスハラ対策ポスター

こういった状況の中ではありますが、行政におけるカスハラ対策として、先進的な取組を進めているところがあります。

それが、札幌市

札幌市の広聴部門は、どういう行為がカスタマーハラスメントにあたるのかを住民に伝えるため、令和5年7月から市役所本庁舎1階の「市民の声を聞く課」や各区総務企画課広聴係といった、いわゆる広報広聴部門に、カスタマーハラスメント防止啓発ポスターを掲示しています。

まゆ
まゆ
「市民の声を聞く課」というのも、なかなかインパクトのある組織名ですよね。

このポスターには「自覚なきカスハラ」として、次の4点を例示しています。

「言ってやらなきゃ」という<暴言>

行政・自治体への問題や課題意識などについて、自身の正義感から担当職員などに伝えるものですが、その口調が結果として攻撃的になったり、威圧的な言動をとったりして、職員に恐怖や不快感を与えるものです。

なお、怒りの表現のほか、感情的になって泣くなどの行為も、この「暴言」に含まれると解釈して良いでしょう。

たとえば、行政へのカスハラが注目されるきっかけとなった、北海道・東北地方の自治体に対するクマ駆除に対するクレームは、攻撃的な口調のほか、「クマちゃんがかわいそう」などと泣き崩れるパターンもありますが、これらがまさに「暴言」に該当する行為であると言えるでしょう。

おしゃべり好きなだけという<時間拘束>

仮に特に攻撃的な態度をとらなかったとしても、毎日のように窓口に表れ、所管事項に関係ある・なしを問わず、長時間お話をして、職員の勤務時間を奪う行為…。

これも「時間拘束」として、カスハラに当たると整理されています。

言うまでもなく、職員が長時間拘束されている間、当該職員は他の業務を止めて対応していることになるわけですし、その対応の間に要する人件費は、住民の税金から出ています。

また、自分の他の仕事を止めながら、長時間住民の話相手になる職員の精神衛生状況も心配、という一面もあります。

「ワシも税金を払ってる住民なんだから、ちゃんと相手してもらわんと困る!」

といいながら来庁される方は結構多いですが、その相手している間、役所側にどういった負担があるかどうかまでは思いが及んでいないようです。

なお、クマ問題に関して言うと、長時間の電話で担当課の職員を拘束している状況が知られており、「時間拘束」の面でもカスハラに当たると整理できるでしょう。

「このくらい当然でしょ?」という<過度な要求>

この手の住民の中には、「自分が唯一絶対の正義」だと思っておられる方も結構いらっしゃいます。

たとえば、

「広報誌のデザインが見にくいから、ワシの言うとおりに直せ」

とか、

「ワシの質問に対して、いついつまでに文書で回答を示せ」

など、対応する必要のないことを、あたかも当然であるかのように、理不尽に要求する…。

こういった「過度な要求」もまた、カスハラの一形態として整理されます。

なお、こちらもまたクマ問題に例えると、駆除の必要性が認められると判断して駆除したクマの件で、後のリスクを考えることなく「生かしておくべきだ」とか「山へ帰すべきだ」と執拗に主張することもまた、「過度な要求」だと言えるでしょう。

「世の中に広めるべき」という<SNSへの投稿>

役所の窓口等で、必ずしも自分の思い通りにならないことというのは、往々にしてあると思いますが、そういった際に、担当職員の写真や動画を撮ってSNSに投稿したりすることは、職員の肖像権・プライバシー権を侵害するカスハラ行為にあたります。

特に、個人を完全に特定できる投稿の仕方は完全に論外です。

いったんSNSに出回ってしまい、拡散されてしまうと、それを止めることは難しいため、2次被害も生じてしまう恐れのある、非常に罪深い行為です。

なお、こちらもクマ問題に例えると、クマ保護団体が自治体の窓口を訪問し、行政職員の対応の様子等を写真付きでつぶさにSNS等に掲載する様子などは、この形態のカスハラに該当すると考えられます。

電話録音対策の取組もスタート

加えて、直接窓口に来て苦情を言う住民のほか、電話で長時間苦情を言って、職員の時間を拘束する事例もたくさんあります。

こういった事態に対応すべく、札幌市の広報広聴部門では、電話の録音も開始。録音していることが明らかになると、暴言やそれに類するようなものの言い方が減少傾向になってきているといった手ごたえを感じているようです。

最近の民間企業コールセンターでは「サービス品質向上のために」という大義名分で電話を録音している事例がたくさんありますが、札幌市では、行政としては先駆的にこのあたりにも着手してきています。

他自治体からの問い合わせも

こういった札幌市の取組については、他自治体からも注目を集めているようで、すでに30自治体が問い合わせや視察等を行っている旨、iJAMPの記事にも出てきています。

多くの自治体が、カスハラ対策に課題を持ちつつも、「住民の声を聴くのも仕事」という使命感もあって、なかなかそこに手を打つことができていなかった…

一方で、度を越えたカスハラが増えてくる傾向にある中、いわばカスハラ対策の「ファーストペンギン」として、大きく踏み込んだ取り組みをした、札幌市。

多くの問い合わせ・視察が来ている背景には、札幌市の勇気に敬意を表する面もあるのではないでしょうか。

まとめ

以上、本日は、行政へのカスハラ問題について、勇気をもって真正面から向き合い、カスハラ対策に真剣に取り組んだ札幌市の事例をご紹介させていただきました。

クマ駆除に対して行政に異常なクレームが発生した問題を契機に、行政のカスハラ対策が一気に話題になりました。

「住民の声を聴くのも行政の大事な仕事」という思いを、ある意味で逆手にとるような、理不尽な住民からのカスハラは、クマ問題に限らず、全国どこの自治体でも発生し、大きな問題になっています。

こういったカスハラに対する明確な考え方を、職員だけでなく住民に対しても示し、毅然とした対応を取ろうとしている札幌市

その取組内容と、何より

「たとえ住民であっても、理不尽な行為はカスハラと判断し、毅然とした対応をとる」

という勇気ある決断は、ぜひ多くの自治体でも、参考にしていただきたいと思っています。

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